2009年度 理事長所信

理事長 三代川雅信
【和衷協同】(わちゅうきょうどう)~絆で紡ぐ明るい未来~
『はじめに』
人が一つの変革を成し遂げるとき、最も肝要な事は「大局」を見据えた見識を持つ事と、常にもう一方の「対極」に目を向ける事、そして掛替(かけが)えのない「仲間」を得る事だと私は考えている。それは、大きな時局に高い関心を持ち、独自の理念と使命感を抱きながらも、時には小さな自己の自覚に立ち返り、身近な地域に目を向ける事。そして時には自分と全く別の発想から戒(いまし)めてみるという姿勢である。その上で自己を表現し、相手を心の底から理解する事ができれば自(おの)ずとそこに協和が生まれる。個々が心を同じくして力を合わせる事により、一人では決して成し遂げられない事もはじめて可能となってくる。「大局を見据え対極に学ぶ」この事が個人の小さな意識の協和を産み、社会変革運動の大きな推進力になると確信している。
『現在(いま)を生きる責任世代として』
「敗戦後の荒廃した国家の復興」は、我々の運動理念の原点であります。その時代に在った切実で純粋な個人の意思の協和は、同じ価値観のもとに大きな社会変革の推進力となり、驚くほど短期間で「日本」を世界有数の経済大国として復興させました。
しかしバブル経済の崩壊に始まった国力の低下は、危機意識が欠落していた日本社会全体の歪みを浮き彫りにし、混迷の中、抜本的な改革がなされないまま現在に至ります。更に世界情勢に目を向ければ、爆発的な人口増加や新興国の急速な近代化により消費は急増し、不安定な中東情勢やサブプライム問題に端を発した金融混乱により資源価格は高騰(こうとう)を続けています。その影響は代替(だいがえ)資源として注目視された穀物価格にまで飛び火し、世界各地で生活の糧(かて)を失った人々が飢餓や貧困に苦しんでいます。消費の増大は地球環境にも過大な負担を強(し)いる事となり、各地において甚大(じんだい)な環境被害の報告がされる様になりました。
複雑に絡み合った世界的なバランスの崩壊と、かつて無い危機的な状況を鑑(かんが)みた時、この切実な問題を解決する鍵を握るのは「個人の高い意識と自覚」でしか在り得ないと私は考えます。
昨今、日本の国家や国民の未来を憂(うれ)える声をよく耳にしますが「知りながら行動しない事」「行動せずに嘆く事」は我々の運動理念に反するものであります。幸いにも「戦争」や「災害」を経験する事がなかった我々世代は、自身が極稀(ごくまれ)な恵まれた社会環境で生活できている事に感謝し、この現実に目を向け行動しなければなりません。共に切磋(せっさ)琢磨(たくま)し、「個人の高い意識と自覚」を醸成(じょうせい)し、地域に根ざした青年会議所であるからこそ出来る事を実践して行きましょう。それが現在(いま)社会から求められている必然的な使命であり、その一端を率先して担う事こそが青年会議所組織の存在価値であると私は考えています。
『郷土(きょうど)愛(あい)溢(あふ)れるつよい習志野をめざして』
日本の国債残高は現在680兆円を超える世界最悪の状況となっています(財務省:平成20年6月末)。そして国の財務体質は破綻(はたん)した夕張市よりも深刻な状況下にあります。バブル経済崩壊後の平成2年頃より、歳入減と歳出増のアンバランス傾向が顕著(けんちょ)化し、累積赤字の増加に拍車(はくしゃ)がかかる中、財政健全化が急務である事は誰の目においても明白な事実です。また高齢化に伴う社会保障費の増加は毎年約1兆円とも言われ、今後到来する、本格的な高齢化社会における負担は我々に課せられているのです。
公債発行による借金は次世代への問題の先送りに他なりません。「明るい豊かな社会」を後世に残すべく運動する我々は、今こそ真剣にこの現実に向き合い、責任世代として使命感を持ち対処しなければならないのです。三位(さんみ)一体(いったい)の構造改革により地方分権が進む中、補助金の削減と税源(ぜいげん)委譲(いじょう)のバランスにより地域間の財政力格差は広がりました。地方の事は地方で自立し賄(まかな)う以上、国益に寄与する事ができるつよい地域社会を創る必要があり、その意識をその地に住まう市民全員が持つべきだと私は思います。その意識醸成を実現する為には、まず我々自身が「文教住宅都市憲章」をまちづくりの基本理念とする「習志野市」に関心を持ち、知る事が重要なのではないでしょうか。そして地域社会の諸問題を研究し市民意識に問いかける姿勢を持ち、お互いに協調しながら自覚を持つ事ができれば、我々自身にも一般市民にも「郷土愛の精神」が芽生(めば)えると確信します。
昨今、都市化現象により豊かで美しい自然が失われつつあります。また、郷土の伝統や文化が忘れ去られ、そこに住まう人間同士の連帯感や思いやりまでもが失われてきています。郷土の自然や文化、伝統に触れる機会を構築し、心のよりどころとなる「故郷(ふるさと)」を発展させ、愛する心を育てる事が大切なのではないでしょうか。
『次代を担う青少年のために』
私自身が父親としてこどもを持ち強く感じた事があります。それは月並みな表現かもしれませんが、こどもの持つ「澄み切った水」にも似た純真な心の尊さと、親の存在の偉大さ、そして自分の未熟さです。よくこどもは大人の背中を見て育つと言われますが、こどもに対し「我々」が大人として自覚を持ちその存在を示す事と、親に対する感謝の念を姿勢として示す事。また自己を戒(いまし)め律(りつ)する事は、青少年の健全な成長を促(うなが)す上で非常に重要な要素ではないでしょうか。極端(きょくたん)な社会の歪みを映し出すかの様に青少年が関わる事件が起き、その動機も理解し難い自己中心的なものが多くなっています。我々が大人として縦軸の意識を示し、その上でこどもたちに道徳心を伝えることができればその歪みは修正できると私は思います。
そしてもう一つ感じた事は地域社会と家庭との関係についてです。近年、「モンスターペアレンツ」という和製英語が誕生したのも、保護者や児童の権利意識の肥大(ひだい)が招いた顕著(けんちょ)な事例だと捉(とら)えます。これは極端な事例と思いますが「親ずれより友ずれ」という格言が示す通り、こどもの成長過程に遭遇する様々な体験は、親からよりも同世代に影響されることが多い事実があります。その事を踏まえても、こどもの育成は決して家庭だけで満足に成し得(う)る物ではなく、親自身も我々も社会全体でこどもを育てるという協調した意識を持つ事が必要だと思います。大人とこどもを取り巻く地域社会を巻き込んだ「世代間交流」の機会を創造する事ができれば、必ず青少年の健全な育成に寄与する事ができると考えます。
『組織強化』
地域社会と市民意識の変革を増進する為の第一歩は、会員自身がその目的と運動意義を、この青年会議所組織の中で「掛替えの無い価値」として見出(みいだ)す事にあります。会員各々が、高い意識と志に溢れた魅力ある人間として更なる成長を遂げる事ができれば、個々の協和が自然と生みだされ、結束力のある組織として地域に対し大きく貢献(こうけん)する事ができるのです。そして組織内に限らず地域や会社、家庭においてもその経験をもとに多くの事を還元(かんげん)し、その繁栄(はんえい)に大きく寄与する事ができるのです。
青年会議所の三信条「個人の修練」「社会への奉仕」「世界との友情」にある通り、その運動に携わる事は時間的にも経済的にも決して簡単な道ではありません。現状の不安定な社会情勢の中では、行動の選択肢は実益的で効果的な物に制約される傾向もあります。私は「茨(いばら)の道」とも言える尊い青年会議所運動の道を選択した先に、会員であるからこそ享受(きょうじゅ)できる何物にも変えられない恩恵が、組織の魅力として在(あ)って然(しか)るべきだと考えています。その一つとして想う事が、会員個々が多くの「気づき」を得る事です。それを自己啓発や会員研修の場において真の目的として構築する事ができれば、必ず「社会起業家」としての自(みずか)らの責任に目覚める事ができると考えます。
その為に取り組みたい事が「例会」の強化です。会員の成長の機会として例会の持つ役割は非常に大きなウェイトを占めています。日本青年会議所が示す運動指針を踏襲(とうしゅう)しながらも会員が得られる公益的な実益を追求し、工夫を最大限に凝らす事が肝要であると考えます。例会の構成を真剣に精査して、魅力あるJayceeの育成に取り組みます。
『会員拡大』
組織の活性化を踏まえ、最も重点的に取り組まなければならない運動が「会員拡大」です。近年の日本青年会議所の会員数動向を見ると15年前に約6万7千人在籍していた会員数が2008年には約3万7千人のスタートを迎えるなど、大幅な会員減少に拍車が掛かる現状が窺(うか)がえます。習志野青年会議所においても現在の会員数は50名弱ですが、今後3年間で約4割の会員が卒業を迎える現実があります。
しかし、その様な環境下でも会員を増大しているLOMがあり、この事の起因要素については、各地で真剣に論議が繰り返されてきました。今、私が想う会員を拡大する上で一番大切な事は、自信を持って「JC運動のメリットを伝える」事です。先に挙げた「会員としての恩恵」と「地域に還元できる恩恵」を伝える事ができるならば、そこに「説得力」が宿り必ず多くの会員を迎える事ができるでしょう。新しい会員を迎える事は新たな発想と創造力を組織内に吸収することになり、我々在籍会員にとっても新たな刺激を受ける絶好の機会となるのです。そしてこの崇高(すうこう)なる青年会議所運動を後世に託し、継承して行く事にも繋(つな)がるのです。
『地域社会に求められるJCであり個人であるために』
2009年度は、前年度末に施行された公益法人制度改革法が実質的なスタートを切る年となります。この大きな組織改革の機会を迎えるにあたり、我々は常に「明るい豊かな社会を築く」という、崇高で恒久(こうきゅう)な運動理念を忘れてはなりません。「公益法人格の取得」は現在の習志野青年会議所組織の基軸を見れば問題無く実現できると確信します。
その上で大切な事は、この制度改革の目的を理解し、向き合う事なのです。そして地域における組織の未来像を明確なビジョンとして会員同士が共有する事に他ならないのです。冒頭に述べた通り、時代背景を反映した使命を率先して担う事が青年会議所の存在価値だと私は思っています。
今こそ何をすべきかを明確に捉え「共益」と「公益」の調和のうえに我々にとっても地域においても有益で効果的な運動を実践する必要があるのです。若き力を結集し、「時代の先駆(さきが)け」としての気概を持ち、地域社会の期待に応えられる新たな組織の在り方を共に創造して行きましょう。
『むすびに』
会員個々が互いを敬(うやま)い励ましあう。そして不断の尽力に感謝し犒(ねぎら)いの気持ちを伝えあう。これが当然の意識として今以上に浸透すれば「団結」という強固な「絆」が生れ素晴らしい一年を共に過ごす事ができる。そんな想いから「和衷協同」というスローガンを掲げさせて頂きました。その想いを抱くにあたり、私が中学から大学までスポーツに青春を掛け、その中で哲学的に感銘を受けた言葉を紹介して「むすび」とさせて頂きたい。これはテニスプレーヤーである早稲田大学OBの福田雅之助が後輩に宛てた有名な言葉である。
「この一球」
この一球は絶対無二の一球なり
されば身心を挙げて一打すべし
この一球一打に技を磨き体力を鍛へ
精神力を養うべきなり
この一打に今の自己を発揮すべし
これを庭球(ていきゅう)する心という
二度と無い現在(いま)を大切に、熱い情熱を注ぎ共に過ごしましょう!!
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