2010年度 理事長所信

理事長 秋山奈穂子
【形名参同(けいめいさんどう)】~ 理想を信念に高めよう ~
意識が現象を導く…。これが人間の活動の基本です。なぜやるのか、いつまでに、どうやるのか、計画が鮮明であればあるほど、成功の可能性は高まっていきます。「こうであればいいな」という理想を「こうするのだ」という信念にまで高めましょう。心の炎を周りに伝播(でんぱ)するほど自らが真っ赤に燃え上がり、「やれる」という確信をもって走れるまで、真剣に今なすべきことを考えましょう。
●はじめに
日本に青年会議所が創立された1949年当時は、敗戦により目的を見失った国民、新しいイデオロギーに動揺する世相が、日本に深い混沌をもたらした時代でした。一刻も早くこの国を再建し活力を取り戻そうと、使命感に燃えた青年達がこぶしを握って立ち上がったのが、日本でのJC運動の始まりです。その後、「明るい豊かな社会を築く」ため、自らが帰属意識を持つ地域を母胎に、日本各地に多くの青年会議所が設立されました。
私達が生活を営み、青年会議所運動を展開する現在の経済環境は「100年に一度の不景気」という衝撃的なキャッチフレーズで形容されるに至りました。冷え込んだ消費者心理は再び熱を帯(お)びる気配を見せず、このまま目前に迫(せま)った人口減少による経済規模の縮小時代に突入してしまいそうな予感さえしています。
しかし、そのような時だからこそ、危機感を持って立ち上がることが、今の私達には必要です。今までの枠組みが崩れてしまう時代にこそ、今何をすべきかを明確に示し、社会を牽引(けんいん)するリーダーが必要とされます。私達は先が見えづらい経済環境の中で、生き残りという闘(たたか)いの只中(ただなか)にいることを認識し、自己の力でそれを打破する自覚を持たなければなりません。この世の中を創造するものは自らの力です。沸き立つようなこの感覚は、青年会議所の創設時、そして習志野青年会議所の設立時に根底にあった、使命感と通ずるものがあるのではないでしょうか。
●今、まさに立ち上がるとき!
「明るい豊かな社会」を築くという崇高(すうこう)な理念の下(もと)、青年会議所は常に時代と地域のムードメーカーであり、リーダーであることを自らに課しています。自分達の活動が理念に見合っているかどうか、常に自分達の行動の目的とそれがもたらす意味がぶれていないかどうかを確認しながらJC運動をしています。考えてみてください。創世期(そうせいき)のJCメンバーのほとんどが、現在も日本経済をリードする名だたる企業のトップであることを。不安が息巻く今だからこそ、青年会議所が必要とされる時代なのです。JC運動を通じて身に付けられるリーダーとしての強さこそが、今の社会に、そして自分達の会社や生活に必要とされていることなのです。
2010年度は、リーダーシップ開発、習志野に活力を与えるための事業の展開、会員拡大を活動の柱としてJC運動に取り組みたいと考えます。JC運動をしている私達は、自らが使命感を持ったリーダーとなるべく運動をしているという行動の原則を忘れてはなりません。
ところで、リーダーシップについてですが、谷沢(たにざわ)永一(えいいち)氏の著書『人間通(にんげんつう)』では、「人が組織の要(かなめ)となり世の礎(いしずえ)となるための唯一の条件は、人の心がわかること」としてリーダーを定義づけしています。人間が欲(ほっ)するところはただ一つ、それは、自分以外の人から認められ、理解されることだそうです。相手の気持ちや状況を鋭く推察(すいさつ)し、自分の価値判断の基準から外れることも鷹揚(おうよう)に受け容(い)れ、理解を示すことがリーダーの条件となります。日々のJC運動において、私達は様々な人と関わっていくことになります。そのひとつひとつの関わりが、リーダーとなるための力を養ってくれることに繋(つな)がります。また、何事にも使命感をもって臨(のぞ)むことも、JC運動を通してリーダーシップ力を向上していく自己鍛錬になります。しかし、自分達のやりたいことばかりを押し通してはだめなのです。自身の目標を達成しようとする想いが強ければ強いだけ、関わる人たちの気持ちを汲(く)んでいくことがより重要になっていくのです。人の心の機微(きび)に通じようとする行動は必ず自身の糧となり、器量(きりょう)を広げてくれることになります。これは、JC運動を離れた場面でも応用できる、座学のみの研修よりもはるかに役立つ財産となります。
社会的にも経済的にも通用するリーダーになるためは、JC運動を通じて習志野に活力を与える事業を展開していかなければなりません。内に閉じこもり、内部の居心地の良さに価値観を求める団体は、甘えに負け、自らの力を減退(げんたい)させていく結果を免(まぬが)れません。私達は、自らがリーダーとなって行動するための信念を持って、これまで行ってきた社会開発事業、青少年健全育成事業、市民の主体性をもって習志野を活性化するための政策系事業をさらに発展させていかなければなりません。
●住む人、関わる人が誇りを持てるまちづくりを展開しよう!
誰かが何かをするとき、取り組むことに対して他人事(たにんごと)ではなく、「自分事(じぶんごと)」として捉(とら)えることが行動の原点であると考えます。たとえば、人はのどが渇けば水を飲みます。これは、自分のことだからできることなのです。他人ののどの渇きに始終気がついてやれる人はいないものです。人は関心のないことには見向きもしないものです。
まちづくりにしても同じことです。規模が大きなことだけに、自分事としての意識が希薄になりやすいものです。やってくれる人に任せきりにして、まったく関心がなくなってしまっています。これでは、地域間競争、自治体間競争の時代に入った現代社会を生き残れる可能性は低くなる一方です。まちに関心を持った市民を増やすためには、大人から子どもまで、このまちに住む人、関わる人が誇りを持てる地域政策、事業の展開が必要です。
●習志野に「志民」の風を巻き起こそう!
約800兆円の公的債務を抱えて、日本が100年に一度といわれる未曽(みぞ)有(う)の不況を乗り切るには、一人ひとりの国民の力や地域資源をどれだけ効果的に生かすかというボトムアップの手法が今まで以上に必要となってくるでしょう。そのためには、それぞれの地域に応じた行政、つまり地方分権が必要と言われていますが、国民の関心は低いのが現実です。
国民、つまり住民が安心して生活し、働くことが出来る地域を作り出して、その地域に住む人々や産業の力を引き出さなければ、地方自治体にもそして国にも明るい未来はないのではないでしょうか。国と地方自治体はしっかりとした情報公開を行い、住民の意思による「住民自治」とそれを可能にする安全網作りが求められていると考えます。同時に住民に求められているものは、まちの事を自分の事としてとらえる責任感と積極的な関わりです。
1975年から1983年くらいにかけて、日本人の「贅沢(ぜいたく)」への願望はほぼ満たされたと言われています。そこで日本企業は「贅沢の提供」から「めんどくさい」ことの代行業へのシフトをしました。普通の人間ならある程度の財力があれば「贅沢」と感じることがほぼやりつくせるそうで、「贅沢」には手段が必要であり、限度があります。けれど、面倒と感じることにはそれらがありません。そこに無限の需要を見た日本企業は突っ走りました。地方自治体の提供する行政サービスもまさにこのパターンを追従(ついじゅう)し、そこから抜け出せなくなっているのではないでしょうか。「めんどくさい」ことを外注し、人々が責任から逃げ出すような世の中は継続できません。自分の事は自分でするという志の高い住民、つまり責任感をもってまちの事を自分の事として捉えられる「志民」を増やしていきましょう。
●子ども達もまちづくりのメンバーに!
子ども達は、家庭と学校と地域社会の中で過ごしています。これらがそれぞれに教育力を発揮してこそ、子ども達はまっとうに育っていきます。かつては、家庭や地域社会の子どもを「人」として育てる基本的な使命がある、と誰もが考えていたように思います。ところが、「他人(ひと)様に迷惑をかけるな」「悪いことをしてもお天道様だけは見ているぞ」と近所の子どもをたしなめる人が少なくなりました。そして、昔ほど家庭や地域で労働力としての役割を求められなくなった子ども達は、地域社会への帰属意識を失っていってしまったように思います。
これからの地方自治の時代に、次代を担う子ども達が自らの地域に無関心でいては、中長期的な視点で考えると、地方自治は崩壊してしまいます。
子ども達にとっての地域の醍醐味(だいごみ)は、地域の一員としての役割を得て、地域の大人にもそれを認められ、受け容れられることであると思います。子ども達が、自分達はこの地域の大切なメンバーであり、そこに参加する権利と責任があるという「市民意識」を身につけ、市民として様々なことに取り組んで行こうとする意欲を高めるように社会体験をさせなければいけません。
子ども達と大人は、一緒に地域の活動をとおして、地域社会に貢献できる喜びを感じ、そこにおける自分の存在価値を見出し、共に地域帰属意識を持った住民に成長していかなければなりません。
●元気を生み出す仲間を増やそう!
人の集まるところには、「2・6・2の法則」が働くといいます。能動的(のうどうてき)に動く人が2割、受動的(じゅどうてき)に従う人が6割、反発しがちな人が2割で、会社であれ、地域の活動であれ、組織にはこの法則が必ずあてはまるそうです。青年会議所では、会社のトップやそれに近い立場の人や、職場や社会でリーダーになる人たちが会員拡大の対象になるわけですから、一般的には最初の2割に属する人たちが多いはずです。「この人なら私達と活動して、即戦力になってくれるかもしれない」と…。ところが、能動的に動く2割の人が集まって組織された集団にもやはり「2・6・2の法則」が働きます。これは人間が集団を構成するときに必ず発生する現象で、能動的な人ばかりを集めてグループを作っても、結局はこの法則があてはまるグループ構成になるそうです。
しかし、元は能動的に動く2割の人たちが集まった集団です。潜在(せんざい)能力(のうりょく)は高いはずです。JC運動を通して自分を磨(みが)くことで、自分や周囲の人の人生をより盛大なものにすることができるとなれば、必ず仲間は増えるはずです。
10年前の知識や技術がすぐ埃(ほこり)まみれになって役に立たなくなってしまうこの時代は、残るもの、淘汰(とうた)されるものが酷(こく)なほどはっきりと振り分けられています。気を抜けば私達青年会議所も淘汰されるグループに入ってしまいかねません。「強いものが生き残るのではなく環境に対応できるものが生き残る」というダーウィンの進化論の一節は、まさに青年会議所にもあてはまる自然選択の原則のように思います。
今のような時代だからこそ、青年会議所が必要なのです。JC運動を通じ、リーダーシップとは何か、人の心の機微を読み取ることがどれほど重要なことか、組織運営とは何か、を体験し、自分達の会社運営や生活の場に即応用ができることを伝えましょう。そして、アクティブなメンバーを増やし、どんどん新しい仲間を迎え入れましょう。
●むすびに
成功者になろうとするのではなく 価値のある人間になるように努めよ
Try not to become a man of success, but rather try to become a man of value.
これは、相対性理論で有名な物理学者、アルベルト・アインシュタイン博士の残した言葉です。
大切なことは、身につけた知識をもとに行動し、自分の夢、志、あるいはビジョンに向かってチャレンジし、社会に貢献することです。そしてそれを達成しても更なる目標を持ってチャレンジし続けることです。「周囲からの評価を求めるのではなく、周りから認められることで、自然と成功者になれるのだから、しっかりと自分を高めていこう」と言っているように思います。
ともに価値のある一年間を過ごしましょう!
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